海苔ささみピザパン

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7月7日

(前略)最も重要な、あるいは最も魅力的な願いとして明らかになったのは、人生を展望すること……であった。人生がそれ本来の厳しい浮き沈みを続け、同時に人生がそれと同じようにはっきり虚無として、夢として認識されるように展望したかったのである。

カフカ『〈彼〉一九二〇年の手記』より)

 

 

  深夜、寿命間近の蛍光灯はカチ、カチと音を立てて点滅している。私はいてもたってもいられなくなりコンビニにタバコを買いに出かけた。タバコを吸ったことはない。アパートのエントランスを出て、人気のない住宅街を大股に歩いた。夜の空気が心地よかった。意味もなく走り出したい衝動を体の奥深くに感じながら、私は星のない夜空を仰いだ。レジででたらめに番号を言うと、店員が白っぽい小さな箱を持ってきてくれた。ペイペイでおねがいしまーす。語尾の伸びた間抜けな声に自分が情けなくなる。帰りの道中でもう一度空を仰いでみたけれど、やっぱり星はひとつもなかった。部屋に帰って先ほど買ったものを見てみると、別売りの本体が必要だと書いてあった。なるほど、そういうタイプもあるのか。私はそれをゴミ箱に捨てた。