海苔ささみピザパン

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今晩はうまく寝つけるだろうか

そんなわけで人生は常にスケッチに似ている。しかしスケッチもまた正確な言葉ではない。なぜならばスケッチはいつも絵の準備のための線描きであるのに、われわれの人生であるスケッチは絵のない線描き、すなわち、無のためのスケッチであるからである。

ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』より)

 

 眠れぬままに朝方。明かりを消した部屋でベッドに横になっていると、心臓の鼓動が伝わって脳が振動しているのが分かる。ロールパンでできた尻に噛み付く犬人間、学校机で前後から首を圧迫されている草食恐竜、足先に装着された白いギプスの間から滴る汗など、色々な光景が見える。いつの間にか外はもう明るいようで、遮光カーテンの隙間から漏れる陽が壁の一点のみを明るく照らしていた。

 脳の振動はやがて痺れとなり、身体をつたって指先へと浸透していく。つま先だけが妙に冷たい。震え続ける脳はいつしか不安が完全に支配しており、私はそいつを目視しながら眠ることをとっくに諦めていた。

 寝転んだまま、ぐ、っと伸びをしたら首の右側から右脇腹にかけてを攣った。痛みに呻きながら、必死に涙をこらえる。

 今晩はうまく寝つけるだろうか。