海苔ささみピザパン

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2018年8月5日の手記

 ケーキを食べた。円錐型のモンブランを、端のほうから倒れないように気をつけながらフォークで削った。私にしては割と上手くできたと思う。円錐がずいぶん細くなるまで、モンブランは立ったままだった。もう一度フォークを刺し込もうとした。目線の先には、食べかけのモンブランと、クリームの付着した透明なフィルムがある。私はなぜかその様子に強烈な違和感を抱いた。お店のショーウィンドウに並んでいたころのモンブランはそれは綺麗な円錐で、土台もしっかりしていて、側面も滑らかにクリームで覆われていた。しかしフォークで削られた今、ボロボロになったモンブランは、もはや円錐とは呼べないほどヒョロヒョロで、内部の層が丸見えで、滑らかなクリームもほとんど残っていない。そうしていつまでも眺めていると、モンブランだったものは音もなく倒れてしまった。

 

 私は何をしているのだろう。ふいにそう思った。周りを見ると、白くて四角い部屋があった。上を見ると、白くて四角い照明があった。少し視線を下に向けてみると、洗濯物や、クッションや、名前も忘れてしまいそうなほど取るに足らないものがたくさんあった。目の前の机の上を見ると、以前の美しさを全く失ってしまったものが、まだそこにある。なぜか動悸が止まらなくなった。